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こんにちは、カイトです。
電束と磁束。
同じ電磁気学の分野で出てくる言葉ですが、電場と磁場という異なる空間で扱う物理量のため、同時に学習する人は少ないように感じます。
しかし、この二つの物理量について、共通点を理解しておくことで、お互いの言葉の意味の理解も深まっていきます。
この記事ではそんな電束と磁束の違いについて、図を用いつつ、比較しながらまとめていきます。
この記事で学べること。
・電荷と磁荷の違いがわかる!
・電束と磁束の違いを視覚的に理解できる。
・電場と磁場の違いの理解にも役立つ。
電荷と磁荷。
電気の様々な現象の源となるものが電荷であることは皆さん承知だと思います。
メモ
ちなみに、この電荷については、真電荷と分極電荷の二種類が存在します。
この違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、併せて見てみてください!
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【電磁気学】真電荷と分極電荷【電荷は2種類ある?】
みなさん電磁気学を勉強するうえで、真電荷と分極電荷について違いを意識したことはありますか? どちらとも、名前は何となく聞いたことがあるけど、あまり違いを意識したことがない……! そんな方も多いと思いま ...
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電荷によって電場が生じ、電圧が生じます。
一方で、磁気を生み出すものは何でしょうか?
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今回、電束と磁束を比較するうえで、非常に大切な問題提起ですよね。
磁気を生じる原因となるのは、磁石ですよね。当たり前ですが。
磁石はN極とS極から構成されており、それぞれの極が磁気を生じさせる要因と言えます。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/05/4958520_s.jpg)
そしてこの、S極とN極のことを磁荷と呼びます。
さて、この電気を生み出すもの(電荷)と磁気を生み出すもの(磁荷)。
電荷は正と負、磁荷はN極とS極をから成っています。
そして電気力線は負から正に、磁力線はS極からN極に描くことができます。
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ここら辺の性質は非常に似ていますよね。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/05/20230531_134929937_iOS.png)
磁力線と磁束線の違いについてここで軽く触れておきます。
磁束線は、磁石の中も通過する線のことです。
一方で磁力線は、磁石の中は通過できません。
イラストでは、磁石の中も通過するように書いたので、磁束線と表記しました。
この非常に性質の似た、電荷と磁荷ですが、大きな違いが一つあります。
それは、磁荷は単独では存在することができないということです。
電荷では、正あるいは負の電荷をそれぞれ単独で定義することができました。
しかし磁荷はそれができません。N極とS極が必ずペアで出てきます。
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この事実は、経験的には当たり前です。
磁石をいくら切っても、N極とS極が出てくるということは小学校の理科でもやりますよね?
ただ、こうやって電荷と比較してみると、重要な事実であることがわかってきます。
この、電気と磁気の非対称性が電束と磁束を比較するうえで大事になってきます。
しっかり頭に入れておいてください。
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電束の導出。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/06/image.png)
まず最初に扱うのは電束です。
メモ
電束では、球状の任意の曲面dSでの電束dΨをまず考えて、それを閉曲面全体で面積分します。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/06/image-1.png)
面積分なので、二重積分です。
そして閉曲面は、ほとんどの場合は、球として考えられます。
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一番考えやすいですからね。
このとき球の半径をRとすれば、球の表面積の式より、
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と表されます。
厳密な考証は抜きにして、だいたいこんな感じだったよなーと思いだしていただければ幸いです。
磁束の導出。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/06/image-6.png)
つづいて、磁束を考えます。
磁束は、任意の断面dSを通過する磁束dΨを考えたい面全体で面積分すればよく、以下の式で表されます。
![](https://electricity.kai10blog.com/wp-content/uploads/2023/06/image-7.png)
これ、どこかで見覚えありませんか??
そうです、電束の式と非常にそっくりなんです!!
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電束と磁束。名前も式も似てるし、同じように導出されたのかな?
こう考えたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、実は全く違う導出方法で導かれているんです。
(具体的には、dSの意味が異なります。)
この違いについて、次章でイラストを使いながらより詳しく比較していきます。
似ているようで全く違う。電束と磁束の導出方法。
前章でも述べた通り、電束と磁束では、dSの意味が違います。
電束でのdS→任意の閉曲面(普通は球)上の微小区間の表面積。
磁束でのdS→磁束が通過する任意の微小断面積。
そもそも、電荷による空間と、磁荷による空間は、大きく異なります。
磁束は、定義する段階で3次元空間が必要になってきます。
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磁束が通過する面を規定するのに二次元必要です。
そしてその面に垂直になるように磁石を置かなければならないので、どうしても3次元必要なわけです。
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上のイラストを見てもらえると、イメージしやすいと思います。
メモ
任意の2次元空間で、両者を比較してみましょう。
電荷は点で存在できるので、2次元空間で表現可能です。
一方で、磁荷は単独では存在できません。
通過する面とは垂直方向に、N極とS極がないといけないので、三次元空間でないと表現することができません。
とりあえず、磁束は電束と全く同じ議論で定義できないということは、この違いから理解してもらえたでしょうか?
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電束と磁束では、
結果的に対称性のある式になってはいるが、物理的な意味は大きく異なる。
ということを頭に入れておきましょう。
まとめ。
こいうことで、ここまで電束と磁束の違いについてみてきました。
まとめ
・電荷は単独で存在できるが、磁荷は単独で存在できない。
・電束は、任意の3次元空間での表面積で面積分をする。
・磁束は、磁束が通過する断面で面積分する。
・形は似ているが、式の意味は違う!
これを機に是非、両者の相違性を理解しておきましょう!